運るもの     


      昭和十七年六月第五十三回紀念祭寮歌
         歌:詠歸會(東大OB寮歌の会)



 1、(めぐ)るもの星とは呼びて   罌粟(けし)のごと砂子(すなご)の如く
   人の住む星は(まろ)びつ

 2、運命(さだめ)ある星の轉べば    き月赤き大星(おぼし)
   人の子の血潮浴びけん   

 3、紫に血潮流れて      ふたすぢの劔と劔
   運命とはかくもいたまし

 4、いたましき運命はあれど  この星の正義(まこと)呼ばはん
   ()の民ら(みこと)かしこみ

 5、「大君の命かしこみ    (うつく)しけ眞子の手(さか)り 
   島傳ひゆく」とうたはん

 6、島傳ひゆくとうたひし   遠つ(おや)いづちますらん 
   みんなみの耀(かがよ)ふ空や

 7、みんなみの空十字星    (まみ)あげて民ら仰げば 
   島めぐる椰子の葉青し

 8、椰子の實の枝を(さか)りて   漂ひし時の流れよ 
   岸に今我ら立ちたり

 9、うち寄する波にくだけし  (ふる)きもの光なきもの
   (まこと)知る(あけ)來にけるを

10、(あらた)なる民のしるべと    雄々しくも岡にのぼれば 
   柏葉に露ぞしづくす

11、いみじくも露にうつれる  新星(にひぼし)(すがた)よかくて 
   人の世の運命を秘めぬ

12、(ほこり)かに運命を秘めて    星轉び民等謳はん
   天地(あめつち)(あけ)に映ゆると

  

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