春尚浅き     


    昭和12年第四十七回紀念祭寮歌 
      歌:TAKECHAN


1、春尚淺き武藏野の       籬落に雪は殘れども
  見よ芳草は萠えいでて     新時代(あらたなるよ)を告げむとす
  昏迷の冬今去りて       希望の曉鐘(かね)は鳴り出でぬ

2、嗚呼錦繍の夢醒めて      銀甲鎧(かふよろ)(とき)は來ぬ
  澆季の闇に蒼生は       光無き日を喘ぐとき
  我等求道(ぐどう)懈怠(けたい)して      ()新世(あらたよ)を導かむ

3、友よ衒氣の語を言ひて     曲學阿世(きょくがくあせい)追縱()ふ勿れ
  慨世の言大呼して       黄吻虹(くわうふんこう)を成す勿れ
  熱き祈りに欣求(もとむ)るは      清き眞理(まこと)(みち)なれば

4、海の彼方(あなた)蜂起(おこ)りたる     現世快樂(うつしよけらく)と呼ぶ聲は
  燎原の火と燃ゆるとも     堅き志操の搖がんや
  凛寒(しも)の威に堪ふる      松の(みどり)を我知れり

5、創業(こと)は難けれど       塵寰(じんくわん)遠き新城(にひしろ)
  闌干星の輝きて        松籟天に嘯けば
  出陣(かどで)を誓ふ男の子等の     斷腸夜半の叫びかな 

6、星霜此處に四十七       今宵祝宴(うたげ)の自治の城
  奇しき(えにし)に結ばれて     丘に上りし若人よ
  別離(わかれ)の歌を高誦(たかず)して      羽觴(うしょう)を月に飛ばさなむ

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