愁ひに悲し     


    昭和8年第四十三回紀念祭寮歌 
      歌:TAKECHAN


 1、(うれ)ひに悲し柏蔭     など春風の身には泌む
   夕雲暗く星寒く     暮れゆく丘の邊に立てば
   光求むる友が眼に    宿れる永遠(とは)の涙かな

 2、時雨るゝ丘の夕まぐれ  ()傳ふ雨の氷りては
   夜半の嵐にむせびつゝ  憂ひに惱む若き胸
   凛々しと守る自治燈の  孤影の下に君よ泣け

 3、自治の傳統(つたへ)は永けれど  歴史は光榮(はへ)に輝けど
   時の流の(いさなひ)に     希望(のぞみ)の星の今消えて
   闇路果てなく踏み迷ふ  この子羊をいかにせん

 4、君な嘆きそしかすがに  闇は綾目(あやめ)を分かねども
   眞闇を告ぐる鐘の音は  (あけ)の近きを約すなれ
   涙拂ひて友よいざ    闇の(とばり)を開かなん

 5、若き生命に誇りてし   三年が丘の友垣や
   歎きの悲曲今しまた   別離(わかれ)の春に奏ずれば
   友が瞳のうるほひに   名殘盡きせぬ今宵かな     

   
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