軒端の萩か         

       大正15年明善寮創立第20週年記念祭々歌        

             
歌:TAKECHAN 

1、軒端の萩か木枯か      秋風湖心に竿させば
  遥かにのぞむ星のかげ   足音もせぬ時の舞
  蘭春の香は既に去り     杜の都に秋暮れぬ

2、旅路伝ふて廿年の      来し方遠くみかへれば
  払はぬ庭の草わけて     こごしき岩のつづら折
  夕陽燦ときらめきて      血汐小途に映ゆるかな
  
*「夕陽」は一般に「せきよう」と歌う。
3、孤燈隻影相吊し        かりがね鳴くや小夜嵐
  清水のあとは涸れはてゝ   高楼甍苔むせど
  今萠え出づる春の芽に    吹くや羅綾のにしき風
  
4、盈虚の隙や白馬とび     一春秋の風立てば
  薫風かをる樹のかげに    断琴の友たづさへて
  花の宴のむしろ敷き     汲むやこがねの水の色

5、あゝ行きなやむ人の子や  自治の鐘の音ひびかせつ
  たかなる胸の潮もて     あこがる理想栄光に
  只ひとすぢにひたすらに   我等が道を行かん哉

6、混濁の波押しわけて     明善のみち辿りつゝ
  澆季浮薄の塵の世に    受難の姿うるはしく
  北斗久遠を仰ぎつゝ     永久の誉れを守るなれ