明治四十三年第二十回紀念祭寮歌
1、藝文の花咲きみだれ 思想の潮湧きめぐる
京に出でゝ向陵に 學ぶもうれし、武蔵野の
秋の入日はうたふべく 萬巻の書は庫にあり
2、降りつむ雪にうづもれて 春を營む若草の
わかき心を誰か知る なべての眠りさめぬとき
眞闇の中に人知れず 鳴く鶏を誰か知る
3、あゝ薄暗き樫の根に 友と理想を語りてし
三年の夢は安かりき さながら今は長江の
河口間近くわだつみの 荒浪をきくわれ等かな
4、などか恐れん諸共に いざ戰はん我父は
額の汗を野にそゝぎ 我が兄はまた舟に乗り
勇魚とるべく行く見れば 戰ならぬものやある
5、いそしむ窓に植えおきし 櫻も今は丈のびて
若き二十となりにけり その紅の花かげに
灯かゝげうちつどひ 今宵は語り明かさんか
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