太平洋の     


      明治三十九年第十六回紀念祭寮歌


1、太平洋のなみの穂に   たなびく雲や濃紫
  さゝべり金に輝けば   くれなゐ薄き空の色
  星かげ淡く風なぎて   春の日今し明けてゆく」
  あけゆく方や我船の   憧憬進む島ぞこれ
  みどりしたゝる柏葉は  岸にしげりて橄欖の
  實は美しう星のごと   うたふや鳥の聲高し」
  十六年のこしかたを   顧みすれば光榮のあと
  黒雲しばし湧きいでて  やみの汐路にただよひぬ
  今あかつきの光得て   梶とる舟子の眉あがる」

2、花ちりかゝる陵の上   今宵護国の旗かげに
  紀念の祭いはゝんと   歌へば健兒胸のうち
  わき來る望大洋の    かの曙に似たるかな」
  北樺太の雪の原     西大連の灣頭に


  朝日の御旗かげ清く   領土は南北三千里
  あゝ我が大和民族の   理想の一歩茲に成る」
  東亜の覇業誰が事ぞ   五億の民を救はんと
  大和民族たゝむとき   歴史を永久に飾るべく
  向が陵の高き名を    擧げよや自治の健男兒」
 
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