BGMは、一高寮歌「散りし櫻」

山高の神代桜
日本五大桜・山高の神代桜

 日本五大桜の筆頭、甲州・山高の神代桜を訪ねてから、早や12年が経った。前回訪ねた時は、残念ながら、もう桜は散ってしまい葉桜となっていた。今年こそ満開の神代桜を見たいものと、平成25年4月1日、朝の天候を確かめてから、躍る心を抑えながら、中央道にマイカーを飛ばして満開の神代桜を訪ねた。
 神代桜は、衰えたりとはいえ、日本第一の桜に相応しく誠に見事な咲き振りであった。根元や主幹は、新旧の写真を比較する限りは、前よりも更にぼろぼろに朽ちているようにみえた。しかし、主幹内に芽生えたヒコ生えは、確実に成長し、残雪に輝く八ヶ岳の頂とその白さを競うように、青い空に向かって、その名(山高の神代桜)にふさわしく山高く誇らかに白い花びらを輝かせていた。
 東国平定の帰途にこの地に立ち寄った日本武尊が植えたという伝説の神代桜、この桜の下に佇み、遠く古代のロマンに浸る時、「大和し美し」と偲ぶ日本武尊の切ない声が聞こえてくるようである。
 淡墨桜や滝桜と比べ、幹を支える支柱が細いのは、支えるべき主幹の多くが朽ち果てて無いからである。途中無残にも折れながら唯一残ったと云っていい南に伸びた一番太い幹には、不似合いな三角のコンクリート製の支柱が今にも崩れそうに幹を支えている。矢尽き刀折れ満身創痍で今にも崩れ落ちそうな、この巨大樹を見るたびに何とかならないものかと哀れに思うのは私だけであろうか。関係者の努力で、やっと樹勢さかんとなって来たヒコバエに一縷の望みを託すしかない。
 神代桜はじめ日本五大桜については、私のホームページ「花と鳥と古寺巡礼」の「花ー桜」に掲載し説明しています。

 2001年(平成13年)に、私が初めて神代桜を訪れた時の写真。この年から樹木医による調査分析が実施され、その結果に基づき、翌2002年から2006年の4年にわたり、弱った根に活力を取り戻し樹勢の挽回を図るため、根元に藁を敷き、また養分に富んだ土壌の入換・改良などの対策が施された。この時、風雨から根元と主幹を守り腐食がこれ以上進まないように昭和59年に取り付けられた屋根が、逆に主幹からの新たな発根を妨げているとして、撤去された。従って、下の写真にある樹上の屋根は今はない。
 主幹は、上に紹介した写真に見る如く、今はもうぼろぼろでその姿は傷ましい限りであるが、主幹内に芽生えたヒコ生えが成長していて、年々立派に花を咲かせている。なお、山門から本堂に至る境内には、赤・白・黄色のチュウリップと黄色の水仙が一面に植えられていたが、今回訪ねた時は、チュウリップの花はなく、白と黄色の水仙だけ咲いていた。

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