BGMは、一高寮歌「散りし櫻」

石戸の蒲桜
日本五大桜・石戸の蒲桜

 埼玉県北本市石戸の東光寺という村の祠のような誠に小さな寺の至極狭い敷地に、一本の桜の巨木が申し訳なさそうに立っている。日本五大桜の一つ石戸の蒲桜である。昔、この地を訪れた源範頼(頼朝の弟)の杖が根づいて、この桜の木となったという言い伝えから、蒲冠者範頼の名に因んで蒲桜と名付けられた。石戸の近くの吉見町には、「御所の湯」というところがあり、範頼の館跡という。範頼は、この辺り一帯を領地として治めていたのであろうか。
 言い伝えどおりであれば、頼朝が鎌倉幕府を開いたのが1192年であるから、この桜の樹齢は800年を超える。蒲桜の品種は、エドヒガンザクラとヤマザクラの交配種で、寺の説明によれば、「現在開化する幹は老木の株分けで、いわば二代目『蒲桜』」だそうである。大正11年に国の天然記念物に指定された頃は、4本の大きな幹に分かれ根元周囲は11メートルもある堂々とした巨樹であったが、残念ながら今は往時の面影はない。10数年前に初めて蒲桜を訪れた時は、狭い境内のせいか、東の方の主幹は起重機のように東南に上へ上へと伸びていて、境内でこの桜の全景をカメラに収めることが出来なかった。寺を離れ、遠くから眺めると支柱がいやに目立っていた。姿形を整えるためか何年か前に、この主幹の上部を切り取ったようで(平成3年4月8日に撮影した末尾の写真比較)、今は幾分見やすくなっている。
 写真の蒲桜は、末尾の写真の他は平成23年4月13日に撮影したものである。今年(平成25年)も4月4日に訪れたが、前日の雨風で既に2、3分ほど桜は散ってしまっていた。
 蒲桜はじめ日本五大桜については、私のホームページ「花と鳥と古寺巡礼」の「花ー桜」に掲載し説明しています。

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