春寂寥の         

   松本高等学校昭和9年寮歌

              歌:TAKECHAN    

  1、春寂寥の洛陽に     昔を偲ぶ唐人の
    傷める心今日は我    小さき胸に懐きつゝ
    木の花蔭にさすらへば  あわれ悲し逝く春の
    一片毎に落る涙

  2、岸辺の緑夏木立     榎葉蔭のまどろみに
    夕暮さそう蜩の     果敢なき運命呪ひては
    命の流れ影あせて    あはれ淋し水の面に
    黄昏そむる雲の色

  3、秋揺落の風立ちて    今宵は結ぶ露の夢
    さめては清し窓の月   光をこふる虫の声
    一息毎に巡り行く    あわれ寒し村時雨
    落葉の心人知るや

  4、嵐は山に落ち果てぬ   静けき夜半の雪崩れ
    榾の火赤くさゆらげば  身を打ち寄する白壁に
    冬を昨日の春の色    あはれ床し友どちが
    あかぬまどゐのもの語り