1、若葉の古城上り来て 空しく更くる青春を
我声低く誦する時 思ひは遠き故郷の
御空に光る星七つ 啓示の色に冴ゆるかな
2、内海に咽ぶ落ち汐の 遠鳴聞けばしみじみと
片帆悲しき漁舟 赤き夜泊の灯を恋ふて
夜すがら叫び狂ふてふ 淋しき海鳥を偲びつゝ
3、乱るゝ花影頬に受け 小胸に秘めし若き日の
憂ひを語るわが友の 指さす彼方南に
沈黙を煙る峯々は 五代が森か石鎚か
4、あゝ五丈原悲愁の夜 三顧の意気に感じては
鬼神は玉と砕けたり 杯あげよ君いざや
燃ゆる誇を讃へつゝ 琥珀の酒に酔はん哉
5、生命の旅の果てしらに 幾夜結ばん草枕
使命ぞ重き若人が 月三更の酒汲めば
明るき希望照る瞳に 三歳の夢のさゆらぐよ