1、南の海の色冴えて 燕は北へ帰りけり 朱欒花咲く丘に来て 仰げば深き青空の まほら流るる白雲に 遥けき旅を恋うるかな 2、春日かぎろういざご路を ゼーランジャ城訪い来れば 御朱印船の夢のあと 戦の庭は草萌えて 海藻を干せる磯の辺に ひともと紅し仏桑華 3、咽ぶ胡弓の音に暮るる 古都台南の夕まぐれ 媽祖廟の庭苔むして 雨に散りゆく栴檀は うす紫に匂いつつ 春の愁いを分つごと