離別の悲歌    

      東京商科大学予科昭和12年

        歌:TAKECHAN

 1、人の命の旅の空
     憧憬(あこがれ)遠く集ひより
   燃ゆる緑に駒とめて
     伝統(つたえ)小琴(おごと)まさぐりし
   三年(みとせ)(なみ)(まぼろし)
     光茫(こうぼう)今しうすれては
   おだまきかへす(すべ)もなく
     春永遠(とこしえ)に恨あり

   
 2、隅田の(ほまれ)多摩の(はえ)
     さては暗きに泣きし恋
   今小川()に佇みて
     回顧(かいこ)の夢に耽る時
   ほぐれて高き(つち)の香や
     白光(びゃっこう)あわく東風(こち)の吹け
   三年(みとせ)を偲ぶ草々に
     あゝ断腸の(おもい)する

 4、あわれ果敢(はか)なき人の子よ
     まどかに眠る揺籃(ゆりかご)
   (ねぐら)の森は朝暁けて
     また旅烏逝(たびがらすゆ)く雲に
   嘆きの色の深くとも
     若きに(たぎ)る血のあらば
   いざ声そろへ歌はずや
     名残り尽きせぬ此の庭に

*楽譜のテンポ指示は、「Adagio おそく」である。ここでは、もう少し遅く、
Lento程度に、♩=50で歌った。ただし、一橋の多くの歌を歌っている岡戸葉子さん
などは、もう少し速く歌っているようである。