故郷の春    

      東京商科大学予科昭和11年

        歌:TAKECHAN

  1、故郷の春は雲遠く    夕べ空行く鳥に問へ
    都塵遥けき小平の    命の森よ青ければ
    君よ来りて共に泣け   友よ集ひていざ汲まん

  2、三寮の友声もなく    弦月窓に懸る時
    花の床をば抜けいでし  (ほほ)紅の若人は
    緑蕪(りょくぶ)の果に逍遥ひて   今宵も独り涙しぬ

  3、春アルペンの花を恋ひ  秋凋落(ちょうらく)の色に咽く
    多感の友よ想はずや   多恨の朋よ愁へずや
    祖国の姿今如何に    母黌(ぼこう)の姿今如何に