*序の「オリオン」は天皇制国家。「ゆれて」は、皇道派青年将校らが下士官1400余名を率いて齊藤実内大臣・高橋蔵相
らを殺害した昭和11年の2・26事件をさすか。「鶏鳴きぬ」は、最後の節の「自由は死もて守るべし」と叫ぶ予科生のことか。
あるいは、新たなる世を告げる革命の声であろうか。
*(初冬)の「利鎌の月」はソビエト連邦のこと。
「だが紫紺の闇のように暗いあの時期に、たとえ一橋寮にはきら星のょうに多くの知性が光り輝いてはいたにもせよ、
それを心ゆくまでに、歌いあげることは、厳しい制約下におかれていた私にほとても出来ぬことであった。
せめて、奴隷の言葉ででもと、絶対制をオリオン星座になぞらえては、万物流転の法則にてらしてその動揺をつぷやき、
「あおげば凄しかまの月」と、カマとツチ(東北弁でほ、月はツチ)印の国の躍進にもふれておいた。」(依光良聲「歌の旅」より)
ちなみに、「鎌」は農民の、「槌」は労働者のシンボルで、ソ連邦国旗に描かれている。